朝起きられないのはナゼ?原因として考えられる病気や対策を解説

朝起きられないという悩みをお持ちの方は、学校や仕事に遅刻してしまうなど生活に支障が出てしまうケースが多いです。「甘えているのか」「怠け者なのか」と周囲からせめられ、自分で自身をせめてしまうこともあるでしょう。

しかし、「朝起きられない」というのは、単なる怠けなどではなく病気の症状であるということもあります。

今回は朝起きられないという症状が見られる病気や原因と、その対策についてお話します。

朝起きられない病気・原因


朝起きられないという症状が現れる病気には、睡眠相後退症候群、睡眠時無呼吸症候群、適応障害・うつ病、起立性調節障害などがあります。
以下に、それぞれ説明していきます。

睡眠相後退症候群(既日リズム障害)

睡眠相後退症候群とは、睡眠障害の既日リズム障害の中で、生活リズムが後ろにズレ込んでいくタイプのものです。

本来、人間は夜になると、松果体という部位からセロトニンを原料に、メラトニンというホルモンを分泌します。このメラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれ、眠気を誘発します。
メラトニンの原料であるセロトニンは、日中に光をたくさん浴びることで分泌されます。つまり、日中に太陽光を浴びると、夜間にメラトニン分泌が促進し、人間は眠くなるのです。

しかし、寝る前にパソコン・テレビ・スマホ・ゲームなどをして不要な光を浴びると、メラトニンの分泌は抑制されてしまいます。
すると、眠りは妨げられ、夜遅くまで起きてしまったり、睡眠の質が低下し、朝起きられなくなります。起床時間が遅れると、日中に太陽光を浴びる時間が減るため、セロトニン分泌量は減少し、夜間のメラトニン分泌量はさらに減少します。

こうして、どんどん睡眠相が後退して行き、朝起きられない状態になるのが睡眠相後退症候群です。
比較的若年者に多いと言われています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の場合も朝起きられないという症状が現れることがあります。

顎の形や肥満や扁桃肥大などの何らかの原因で上気道が閉塞することによって閉塞型の睡眠時無呼吸症候群となります。
睡眠中に上気道が閉塞してうまく呼吸できなくなると、持続的な低酸素に陥り、睡眠の質が著しく低下します。その結果、熟眠感が得られず、朝起きられないという症状に繋がります。

浅い睡眠と起床後の異常な眠気、夜間のいびきがあり、体形も肥満傾向な場合は、睡眠時無呼吸症候群である可能性が高いです。

適応障害・うつ病

適応障害やうつ病は、長い期間、繰り返し強いストレスを受けることで、抑うつ、不眠、起床困難、やる気が出ないなどの症状が出現します。精神的ストレスが影響して発症することが多く、睡眠に影響を与えます。

職場や学校などでの人間関係やその他様々なプレッシャーなどのストレスがあると、眠っている時にも緊張が続き、目が冴えてしまいます。夜遅くまで寝付けず、眠りが浅くなり、その結果、朝起きられなくなります。

適応障害の場合は、ストレスとなる原因がはっきりしていることが多く、ストレスから離れれば症状が改善する可能性が高いです。

うつ病の場合は、ストレスの原因から離れても症状が改善しにくいことが多いため、医療機関へ相談しましょう。

起立性調節障害

起立性調節障害では、起床時に重力に伴い血液が下肢へ多く流れ込むことで、脳血流が低下し、症状が現れます。

本来であれば、自律神経が自動で調節し、交感神経の働きを強くさせることで、脳血流を維持します。
しかし、起立性調節障害の場合、交感神経の働きが強くならず、脳血流が低下してしまうのです。

このように起立性調節障害は、身体的な疾患であるため、早めの病院受診が必要です。

病院に行くべきなの?


いくつかの病気を紹介しましたが、「自分が病気なのか分からない」「病院に行くべきなのだろうか」と疑問に思った方もいらっしゃるかと思います。

睡眠時無呼吸症候群や起立性調節障害で日常生活に支障が出ている場合、医療による治療がなければ改善しません。
また、うつ病も精神科などで専門的な治療が必要です。

睡眠相後退症候群と適応障害については、軽度であれば、自分でストレスを取り除き、生活習慣を改善することで回復することもあります。
ただ、なかなか自分での改善が難しい場もあるため、病院受診して、お薬の力を借りた方が早期に解決できるかと思います。

当院は、睡眠に特化したオンライン診療クリニックです。お悩みがございましたら、ご相談ください。
また、上記のどの病気が原因であれ、以下の自分でできる対策を試してみても改善が見られない場合は、病院受診をおすすめします。

「朝起きられない」を解決する対策


朝起きられないという状態にならないためには、日頃から睡眠の質、生活リズムを乱さないようにすることが大切です。
「朝起きられない」を解決するために、自分でできる対策を紹介します。

午後3時以降はカフェインを摂取しない

カフェインは、眠気を促す脳内物質アデノシンの働きをブロックする作用があります。
カフェインを摂取すると、30分~1時間で体内カフェイン濃度はピークに達し、4時間ほどで半分まで減ります。
完全にカフェインの効果が切れるまでは約8時間かかるため、午後3時以降にカフェインを摂取すると、夜の睡眠が浅くなり、寝付きが悪くなります。
結果、朝起きられない状況を引き起こす原因となります。

眠る前はパソコンやスマホを使わない

パソコンやスマホからは、ブルーライトが発生しています。
ブルーライトは、睡眠覚醒リズムを作っている重要なホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。
結果、睡眠覚醒のリズムが乱れて、朝、起きられない状況を引き起こす原因となることがあります。

入浴は睡眠の2時間前

人は、深部体温を下げることで睡眠が促され、深い眠りに入ることができます。
深部体温を効果的に下げるベストな入浴タイミングが就寝の2時間前と言われています。

夕食は睡眠の3時間前には済ませる

食べ物が消化されるには、2~3時間かかります。
夜遅い時間に食事をとると、まだ胃腸が活発に動いている状態で睡眠に入ることになってしまいます。
すると、睡眠の質が悪くなり、朝起きられない状況を引き起こす原因となります。

寝る際の部屋は真っ暗にしない

真っ暗にすることで、不安や緊張が高まり、交感神経の働きが優位になると言われています。
夜は交感神経ではなく、副交感神経の働きが優位になると質の良い睡眠に繋がります。
そのため、真っ暗ではなく、ほんのりと明るさがあった方が、自律神経の乱れを防ぐことになります。

休日も普段と変わらない生活時間で過ごす

休日だからと言って、寝溜めをする、夜更かしをするなどすると、体内時計にズレが生じます。
体内時計にズレが生じると、睡眠覚醒リズムを刻むホルモンであるメラトニンやセロトニンの分泌リズムが崩れ、体内時計が狂ってしまいます。
疲れていて睡眠を確保したい場合は、朝は一旦いつも通りに起きて朝日を浴び、午後3時までに、20分以内の仮眠にとどめましょう。

まとめ

今回は朝起きられないという症状が見られる病気や原因と、その対策についてお話しました。
「朝起きられない」という1つの症状でも、分野の違う病気や原因があることを知って頂けましたでしょうか?
自分でできる対策を試すと同時に、病院受診の検討の参考にしてみてください。

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