睡眠障害(不眠)で病院に行くとどんな治療が受けられる?メリットは?

睡眠のお悩みをお持ちの方は多いですが、病院を受診されるまでになかなか決心がつかない方もいらっしゃいます。

睡眠障害の中でも一番多いのは不眠症です。
不眠症は心の病気とも関係が深いため、心療内科や精神科を受診することを躊躇われる方も多いようです。

そのため、「家族や友人に薬を貰って飲んでいるが足りなくて受診した」と話される方もいらっしゃいます。
しかし、自分に合っていない睡眠薬を内服すると早期回復の面でデメリットが多いです。
実はもっと軽い薬の内服で良かったはずが、強い薬に慣れてしまったために、減薬する時に苦労するというようなことが起こります。

できるだけスムーズに早めの回復を望む場合は、やはり医療機関での治療をおすすめします。
では、以下に病院で治療を受けるメリットや、睡眠障害の検査や治療はどういうものかについて解説します。

不眠症と睡眠障害について


まずは、簡単に睡眠障害について説明します。
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題が生じている状態です。
十分な睡眠がとれない「不眠症」、活動時間帯に強烈な眠気に襲われる「過眠症」、睡眠中に勝手に体が動くなどの「睡眠時随伴症」などに分けられます。他にも、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、既日リズム睡眠障害、ムズムズ脚症候群など睡眠障害には、多くの病名があります。
症状も原因も様々です。

早期回復が期待できる

睡眠の悩みと言えば、不眠症を思い浮かべる方が多いですが、上記のように不眠症以外の睡眠障害の病気は他にもあります。また、不眠の症状が出てしまう別の病気が隠れているという場合もあります。

医療機関で治療を受けることの最大のメリットは、このように自分では判別の難しいケースで、早期に本当の病気を特定することができるということです。

そして、その方の症状や状況にあった適切な検査や処方、指導などが受けられます。そうすることで、早期に病気から回復することができます。

誰でも「今日も眠れない…」「寝た気がしない」という状況からは、早めに脱したいかと思います。
確かに、ネット検索すれば沢山の情報が出てきます。しかし、その情報は一面的であることも多いです。
その分野で多くの経験と広い知識を持つプロの力を頼ることが、結局は近道だったということもあります。自分だけで解決しようとせず、一度、受診を考慮に入れてみてくださいね。

睡眠障害の治療とは


では、医療機関で行われている睡眠障害の検査や治療について紹介します。

薬物療法

睡眠障害の中でも一般的な治療法です。医薬品の服用によって改善を図ります。
睡眠障害の代表的な治療薬は、GABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などで、いずれも脳内に働きかけることで睡眠リズムを整える作用があります。
薬物療法に関しては、やはり様々な睡眠薬の特徴を把握している医師の指示に従うことが大切です。自己判断で薬を増やしたり、突然断薬したりせず、症状に合わせた内服をするようにしましょう。

睡眠衛生教育

睡眠習慣の見直し・指導によって症状の改善を図る方法です。睡眠障害の原因が日常生活にある場合に有効です。
睡眠衛生教育では、喫煙・飲酒の指導や、個々にあわせた最適な就寝・起床時間の設定や、生活習慣全般の指導なども含まれます。
健康的な生活のための習慣改善は、知ってはいるけれど実践できていない人も多く、また、不眠の原因がそのようなちょっとした当たり前の生活習慣にあるとは思っていない方も多いです。
しかし、朝日を浴びる習慣を取り入れるだけで改善する方もいらっしゃいます。
一度、見直す機会をつくってみることをおすすめします。

睡眠モニタリング法

睡眠中の様子をチェックする方法です。
睡眠障害の原因を特定することで、適切な対処方法を考えます。代表的な方法は、寝姿のビデオ撮影です。
睡眠中のいびき・異常行動の有無や、寝姿勢などがチェックされます。
あるいは、レム睡眠とノンレム睡眠の変化を調べたり、血圧・心拍などをチェックしたりする方法もあります。

最近は、ご自身で睡眠モニタリングができるツールも増えていますので、まずはそちらを試してみるのもいいかもしれませんね。
たとえば、スマートウォッチや睡眠計測アプリなどが代表的です。
当院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる患者様に自宅で検査できる睡眠ポリグラフ検査(PSG)をおすすめしております。気になる方は受診時にご相談ください。

認知再構成法

認知再構成法とは、物事に対する認識のゆがみを正す方法です。
認知行動療法とも呼ばれており、特に精神的ストレスを抱えている方に有効です。認知再構成法では、ネガティブだと思う認識に働きかけます。違う角度から物事を受け止めることを促し、ネガティブ思考をポジティブ思考に切り替えるわけです。
物事をポジティブに受け止めるとストレスを感じにくくなるため、睡眠障害を改善できることがあります。

高照度光療法

ライトなどの照明器具を利用して、体内時計を整える方法です。
具体的には、起床時間の30分~1時間前にライトの強い光を浴びることで睡眠リズムを整えます。通常、体内時計を整えるのは朝日の役割です。
しかし、睡眠障害が起きている方は、体内時計が乱れて狂いやすくなっています。
そこで、朝日よりも強烈な光を放つライトなどを利用し、決まった時間に強い光を浴びることで、体内時計は自然と整いやすくなります。

まとめ

医療機関で治療を受けるメリットをお伝えし、どのような検査や治療が行われるか紹介しました。
受診を躊躇って、不眠に悩み続けていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
不眠の悩みは日本人の5人に1人が抱えていると言われています。不眠で病院に行くのは、おかしなことではありません。
また、精神科や心療内科の他にも睡眠外来などもございます。当院は睡眠に特化した診療を行っています。オンライン診療のため治療には限りがありますが、必要な場合は、その方に合った医療機関受診のためのアドバイスや紹介などもしています。
お悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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