不眠症治療に大切な生活改善法とそのメリット

前回の記事では、病院での治療法について書きましたが、今回は自分でできる治療法をご紹介します。
不眠症は何か1つのことが原因で発症するというよりも、生活習慣や環境、まじめな性格やストレスなど原因となる背景がいくつかあって発症します。

ここでは、生活習慣の見直しをすることで原因を1つでも取り除けるように説明していきます。

なぜ不眠症治療に生活改善が大切なのか


不眠症になって病院受診をすると、生活習慣の改善をするようにアドバイスされたという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
アドバイス通りに生活改善に取り組まれる方もいれば、なかなか取り組めていないという方もいらっしゃるでしょう。
病院を受診して処方された薬で眠れていると、それで満足してしまい、生活改善までなかなか積極的になれない方もいらっしゃるようです。
しかし、お薬だけでは根本解決には至りません。

生活改善のメリット

生活習慣を改善することは、不眠症治療の土台作りになります。この部分をしっかり行っていれば睡眠薬が効かないということは少なく、多剤化・長期化することも少ないといわれています。
反対に睡眠薬が効かなくて多剤化してしまっている背景には、生活習慣の乱れが改善されていない場合が多いです。

お薬と合わせて、原因を取り除き、生活改善を試みることで、お薬がなくても眠れる状態に回復していきます。
そうして不眠症が治癒することになります。

これが不眠症治療で生活改善をするメリットです。

生活改善の方法


不眠症の改善やその先の完治を目指して、ぜひ以下の生活改善に取り組まれてみてください。

就寝・起床時間を一定にする

睡眠覚醒は体内時計で調整されています。
週末の夜ふかしや休日の寝坊、昼寝のしすぎは体内時計を乱すので注意が必要です。

平日・週末にかかわらず同じ時刻に起床・就床する習慣を身につけることが大事です。
日中に眠気がある場合は、夜の睡眠に影響しないように、午後3時前までに20分以内の昼寝をとることが推奨されています。

睡眠時間にこだわらない

睡眠時間には個人差があります。
「◯◯時間眠りたい!」と目標を立てず、日中の活動に支障がなければOKと考えましょう。

また、眠気がない時は思い切って寝床から出ましょう。
眠れずに悶々としたまま寝床にいると、不安や緊張が増してますます目が冴えてしまいます。
眠気がやってきた時に床に就くようにしましょう。

太陽の光を浴びる

太陽光など強い光には体内時計を調整する働きがあります。
早朝に光を浴びると夜寝つく時間が早くなり、朝も早く起きられるようになります。
「早寝早起き」の順番ではなく、「早起きすることが早寝につながる」のです。

朝の日光を浴びて散歩などを取り入れるのが望ましいですが、なかなか難しい場合はカーテンを開けて光を浴びるだけでも試してみてください。
光を浴びた14時間以降に眠気がやってくるといわれています。

逆に、夜に強い照明を浴びすぎると、体内時計が乱れてしまいます。
就寝前のスマホ・テレビ・パソコンは脳を刺激する光が出ておりますので控えましょう。

適度な運動をする

ほどよい肉体的疲労は心地よい眠りを生み出してくれます。
運動は午前よりも午後に、軽く汗ばむ程度の運動をするのがよいそうです。

激しい運動は交感神経を興奮させてむしろ寝つきを悪くするため逆効果です。
夜遅くの強度の高い運動は控えましょう。
短期間の集中的な運動よりも、負担にならない程度の有酸素運動を根気強く継続することが効果的です。

自分流のストレス解消法を取り入れる

ストレスは眠りにとって大敵です。音楽・読書・スポーツ・旅行など、自分に合った趣味をみつけて上手に気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
また、原因となっているストレスを解決できるようであれば周囲に相談するなどしてみましょう。

寝る前にリラックスタイムを持つ

睡眠前に副交感神経を活発にさせることが良眠のコツです。
ぬるめのお風呂にゆっくり入り、好きな音楽や読書などでリラックスする時間をとって心身の緊張をほぐします。
半身浴は心臓への負担も少なく、副交感神経を優位にさせ、睡眠の質を向上させてくれることが分かっています。

その他、アロマやハーブティーや足湯などご自分がリラックスできる時間を寝る前に少しでも持つようにしてみてください。

飲酒・喫煙・カフェインを控える

お酒は睡眠の質を著しく低下させます。寝酒をすると寝つきがよくなるように思えますが、効果は短時間しか続かず、深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきます。

たばこに含まれるニコチンも、アドレナリンを分泌させ交感神経が亢進してしまうことによって、眠りを妨げます。
また、カフェインには覚醒効果があります。
敏感な方は夕方以降には控えることが望ましいといわれています。

どれもやめるのは難しいかと思われますが、夜には控え、量を減らすなど試してみてください。

快適な寝室づくりをする

眠りやすい環境づくりも重要なポイントです。
ベッド・布団・枕・照明などは自分に合ったものを選びましょう。
温度や湿度にも注意が必要です。睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40~70%くらいに保つのがよいといわれています。

まとめ

以上、生活習慣の改善のためにご自分で出来ることをご紹介しました。

全てを一気に整えるのは、なかなか難しい場合もあります。
出来ることから少しずつでもいいので、1つ1つ改善していってみてください。

やっていくうちに病状が改善し、心身に余裕が出てくると、最初は「難しい」と思えたことも実践するためのアイディアが湧いてきたりして出来る状況になることもあります。

まずは、取り組む姿勢を持つという第一歩目から始まりますよ。

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