本当に不眠症?それとも他の病気?睡眠障害について詳しく解説

「自分は不眠症だと思っていたのに、実際は睡眠時無呼吸症候群だった」という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
睡眠の悩みとなる症状は、様々な病気との関連があるため、このようなことが起こります。
睡眠障害に奥に、他の病気が隠れていた!なんてことにならないように、睡眠障害について詳しくお話します。

不眠症と睡眠障害の違いについて

睡眠のお悩みの中で多いのは、不眠症でしょう。
しかし、不眠症は、睡眠障害の中の1つの分類に過ぎません。

睡眠障害は、60種類以上からなる睡眠に関連した疾患群の総称です。
国際的な診断指針では、病態上の特徴や症状の共通性から、「不眠症」「睡眠関連呼吸障害群」「中枢性過眠症群」「概日リズム睡眠・覚醒障害群」「睡眠時随伴症群」「睡眠関連運動障害群」「その他の睡眠障害」の7疾患群に分類されます。

不眠症以外に、6つの分類があるとは驚きですね。

主要な睡眠障害にはどんなものがある?

では、この睡眠障害の中から、主要なものについて、ご紹介していきます。

不眠症

なかなか寝つけず(入眠困難)、夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、もしくは朝早く目が覚め(早朝覚醒)、再び眠りに戻ることが難しいことが不眠の特徴です。

眠りに伴う休息感が薄れ、活力や気分だけでなく、健康、仕事の効率、生活の質が損なわれます。
不眠症は単独で生じる場合もあれば、精神疾患や身体疾患に伴い生じる場合もあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に頻回に呼吸が停止したり、呼吸が浅くなることにより血液中の酸素不足が生じ、深刻な健康被害をもたらします。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)では、舌・喉の筋肉が睡眠中に弛緩し、気道が閉塞もしくは狭窄することで生じます。いびきがひどく、睡眠時間を十分確保しても居眠りをしてしまったり、疲労感が強いです。
また、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)では、何らかの原因で睡眠中に脳の呼吸調節システムのエラーが起こり生じます。

いずれのタイプでも、肺から酸素の取り込みが妨げられ、血液中の酸素が不足します。酸素不足を解消しようと頻回に覚醒反応が生じる結果、睡眠時間を十分確保していても睡眠不足の状態となります。
睡眠時無呼吸が続くと、高血圧などの心血管系疾患だけでなく、2型糖尿病などの生活習慣病、さらに睡眠不足に伴う注意力低下や日中の居眠りから事故やミスが生じやすくなります。

過眠症

中枢性過眠症は、睡眠関連呼吸障害等の睡眠を妨げる病気や極度の睡眠不足がないにもかかわらず、日中に著しい眠気が現れる睡眠障害です。中枢神経系の機能異常が原因と考えられており、ナルコレプシー、特発性過眠症、クライネ-レビン症候群などがあります。

中でも、ナルコレプシーの発症率が高く、耐え難い眠気や、食事中や歩行中など通常眠ることがない状況での居眠りを特徴とします。
また、筋緊張の一時的な消失や、金縛り、幻覚などが起こります。

既日リズム睡眠障害

私たちの体には約24時間のリズムで生理機能や行動を調節する体内時計が備わっており、体内時計が睡眠と覚醒のリズムを、地球の自転に伴う明暗周期に同調させることで、社会活動に無理なく参加することができています。
しかし、体内時計のリズムがこの周期にうまく同調しなくなると、リズムに合わせた寝起きができなくなります。
これが概日リズム睡眠・覚醒障害とよばれる病気です。

睡眠時随伴症

睡眠時随伴症は、睡眠中に起こる異常な行動や体験を特徴とします。
ノンレム睡眠による随伴症状では、睡眠中に突然叫び声を上げたり、泣き出したりする夜驚症や、寝床を出て歩き回るなどです。多くは小児期に始まり思春期早期に自然に治ります。

レム睡眠による睡眠時随伴症の中では、悪夢が頻繁に生じ日常生活に支障をきたす悪夢障害や、睡眠中に大声の寝言や奇声、暴力的な行動をするレム睡眠行動障害があります。

睡眠関連運動障害

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)が代表的です。この他、睡眠中にこむら返りや歯ぎしりを繰り返すものもここに含まれます。

ムズムズ脚症候群(RLS)では、静かに休んでいる時に、「むずむず」「痛い」「かゆい」などの不快な感覚があり、四肢を動かしたい衝動に駆られることを特徴とします。
このような症状によって、眠りに入ることが妨害されます。

他の病気が隠れている場合

その他、以下のような睡眠とは別の病気があると、不眠症状が出現するということが多くあります。
アトピー性皮膚炎、老人性皮膚疾患、感染症、心不全、高血圧、脳血管障害、逆流性食道炎、消化性潰瘍、肝・腎不全、糖尿病、前立腺肥大、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、神経症、うつ病、統合失調症などです。
この場合は、合併している病気の治療をする必要があります。

睡眠を健康のバロメーターにする

睡眠に関わる病気がこんなにあるとは驚きですよね。
そして、睡眠の症状が、まさか心不全などの生命の危険まである病気に繋がっているとは知らず、不安になった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、逆に考えれば、自分の睡眠状態をコントロールすることで健康に繋げることができます。

また、睡眠状態の乱れに気付いたら、健康状態や生活状態を振り返る機会にすればいいのです。

「最近、忙し過ぎたかな?」「ストレス解消できてなかったかも」「生活リズム乱れてるかな?」などなど。
睡眠1つ気掛けておくだけで、自分の健康状態を維持するバロメーターになると覚えておけば安心です。

まとめ

睡眠障害の中に、不眠症や過眠症、睡眠時無呼吸症候群などの様々な病気があること、ご理解頂けたでしょうか?

また、睡眠に関連した症状が出る病気についても知って頂けましたか?
ぜひ、健康状態の把握や病院受診のきっかけなどにお役立てください。
何ごとも早期発見・早期治療が一番です。

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