不眠症の症状とチェック方法を解説

2017年の調査では、日本人の5人に1人は睡眠の悩みがあるとの結果でした。数年経った現在、実際にはもっと多くの人が睡眠に悩んでいると予想されます。ここ数年はコロナにより在宅で仕事をするなど生活環境に大きな変化があった方も多く、このような生活リズムの変化は睡眠に多くの影響を与えます。

また、誰でも何かショックなことや不安なことがあれば、数日眠れないといった経験をします。しかし、ほとんどの人はしばらくすると元のように眠れるようになります。このような場合には、一時的な不眠で、不眠症とは呼びませんね。

では、どういうケースで不眠症と呼ばれるのでしょうか。
今回は、睡眠についてお悩みの方が、自分は本当に不眠症なのか分かるよう不眠の症状について解説していきます。

不眠症の症状


不眠が改善せずに長期間に渡って続くと、倦怠感・意欲低下・集中力低下・抑うつ・頭重・めまい・食欲不振などの心身の不調が出てきます。
このように、「①夜間の不眠が続き」「②日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」といった状態に陥った場合に不眠症と診断されます。

また、不眠症は、慢性不眠症と短期不眠症の2つに分けられます。
不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。
では、以下に不眠症の症状を4つのタイプにわけて説明します。

入眠困難

不眠症の入眠困難とは、寝床に入ってもなかなか寝付けず、眠ろうとすると目がさえて眠ることができないという症状です。
眠りにつくのに30分~1時間以上かかり、「眠れないこと」に苦痛を感じます。
不安や緊張が強いときに起こりやすく、不眠のタイプの中で最も訴えの多い症状です。

中途覚醒

中途覚醒とは、睡眠中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けないという状態のことです。
日本人の成人の不眠に多く、中高年や高齢者になると、より多くみられるといわれています。
これは、加齢とともに眠りが浅くなったり、目覚めやすくなるためです。

早期覚醒

早期覚醒とは、望む時間よりも2時間以上前に目が覚めてしまい、その後もう一度寝ようとしても眠れない状態のことです。
体内時計のリズムが前にずれやすい高齢者に多くみられます。
うつ病の場合にも早朝覚醒は多く見られ、睡眠を誘導する「メラトニン」というホルモンの不足が考えられます。

熟眠障害

不眠症の熟眠障害とは、睡眠時間は十分に取っているにもかかわらず、「眠った気がしない」と感じられ、眠った感覚が得られない状態のことです。
睡眠時無呼吸症候群など、睡眠中に症状があらわれる病気が関係している場合は、なかなか本人では気付きにくいケースがあります。

睡眠時間は問題ではない


睡眠時間には個人差があります。日本人の睡眠時間は平均して7時間半程度ですが、その人にとって十分な睡眠時間(必要睡眠時間)には大きな開きがあります。
ごく稀にですが3~4時間ほどの睡眠で間に合っているショートスリーパーと呼ばれる人たちもいれば、10時間ほど眠らないと寝足りないロングスリーパーと呼ばれる人たちもいます。

また、健康な人でも年齢とともに必要睡眠時間は徐々に短くなります。時々、「特に困っているわけではないけど、以前より睡眠時間が短くなって大丈夫なのか気になって受診しました。」という患者さんがいらっしゃいます。

しかし、不眠症では日中に心身の不調が出現し、活動に支障があるかということが問題になります。眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。
日中の活動に大きな支障がない場合は、睡眠時間が短いことや目覚めの回数にこだわって不安をつのらせたりせず、サプリメントを取り入れたり、ゆっくりする時間を持つなどの生活リズムの改善をしてみましょう。

当院では、睡眠をサポートするサプリメントも販売していますのでご相談ください。

不眠症のチェックリスト


不眠症なのだろうか?とお悩みの方は、以下の不眠チェックをお試しください。世界共通の不眠症判定法であるアテネ不眠尺度をご紹介します。

アテネ不眠尺度で不眠症セルフチェック

過去1ヶ月間で少なくとも3回以上経験したものを選択し、点数を合計してください。

□寝付きはどうでしたか?
0点:いつも寝つきはよい
1点:いつもより少し時間がかかった
2点:いつもよりかなり時間がかかった
3点:いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった

□夜間、睡眠途中に目が覚めましたか?
0点:問題になるほどではなかった
1点:少し困ることがある
2点:かなり困っている
3点:深刻な状態、あるいは全く眠れなかった

□希望する時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったことはありましたか?
0点:そのようなことはなかった
1点:少し早かった
2点:かなり早かった
3点:非常に早かった、あるいは全く眠れなかった

□睡眠時間は足りていましたか?
0点:十分である
1点:少し足りない
2点:かなり足りない
3点:全く足りない、あるいは全く眠れなかった

□全体的な睡眠の質はいかがでしたか?
0点:満足している
1点:少し不満である
2点:かなり不満である
3点:非常に不満である、あるいは全く眠れなかった

□日中の気分はいかがでしたか?
0点:いつもどおり
1点:少し落ち込んだ
2点:かなり落ち込んだ
3点:非常に落ち込んだ

□日中の身体的および精神的な活動状態はいかがでしたか?
0点:いつもどおり
1点:少し低下した
2点:かなり低下した
3点:非常に低下した

□日中の眠気はありましたか?
0点:全くなかった
1点:少しあった
2点:かなりあった
3点:激しかった

[1~3点]:不眠症の心配はありません
[4~5点]:不眠症の疑いが少しあります
[6点以上]:不眠症の可能性が高いです

まとめ

不眠症の症状やセルフチェック法を紹介しましたが、いかがでしたか?
今回は不眠症の症状に焦点を当てましたが、「いまいち当てはまらないけど気になる、睡眠に悩んでいる」という方は別の睡眠障害の可能性もあります。セルフチェックはあくまで目安と考え、気になる場合は、受診されてくださいね。

当院では2回目の受診の際に、「前回の診察の後から眠れるようになりました。お薬もお守りとして持ってますが飲んでません」と話される方もいらっしゃいます
。医師に相談するだけでも、意外と安心して眠れるようになることもありますので、1人で悩まず、ご相談されてください。

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